というわけで……

「鬼平犯科帳」特別シリーズ終了企画

 人気投票の結果発表です。

 ただ何となく思いついた企画ですが、シリーズを振り返るだけでなく、今後のテレビ時代劇に対して何か建設的な意見を残せたのではないか?と思っています。投票数は思ったより伸びませんでしたが(合計7、正直、期待外れでした)、遊びにしてはなかなか楽しい結果となりました。参加いただきました皆さん、ありがとうございました。

集計のお断り

*当初の投票フォームに一部ミスがありました。こちらの不手際ですので、それに従って投票された方も有効としています。

*主演、助演という分類をしましたが、特にノミネートはしていないため、同じ俳優さんが主演、助演どちらにも投票されることになりました。この場合、より多く投票された部門を優先し、他部門の投票はそれにプラスして得票としました。開票結果に、例えば助演女優賞で「3+1」とあったら、その助演女優として投票した人が3、主演女優としてその女優さんに投票した人が1という意味です。

*一応、公平を期すため、私小太郎は、投票には加わっておりません。

◯主演男優賞

最優秀賞☆大滝秀治「大川の隠居」〜浜崎の友蔵 3票+1票

 ▼老練の元盗賊の凄味、不気味さとともに、昔の女の思い出(そして忘れ形見)をいまだ大切にしている男らしさを見事に演じていて感動的だった。(あんちゃん)▼枯れた味わいと外道に刃向かう反骨精神。そして見事なお盗めぶりに惚れ込みました。庄太郎を実の息子同然に育ててきたが実はその母・おさきへの恋慕の情があったから、と平蔵に告白する姿も一本気で真っ正直な本格派の香りが。(しののめ)▽元盗人である業みたいなものに対する苦悩がよく演じられていたと思います。(まり)

 さすが!熟練の秀治、強し!鬼平復活にはこの人しかいない、という感じの満を辞しての登板だったと思います。私も、シリーズを通じてたった一人の主演、というとこれしかないと感じています。

2位☆火野正平「一寸の虫」〜仁三郎 2票+1票

 ▼いかにも火野正平らしい演技。ちょいとくさいところがまたいい。どうしても一線を脱却出来ないのね。でもよかったよ、頑張ったよ。あたしゃ泣かせて頂きましたよ。(与力たきざわ)▼やっぱりこの人は強烈なインパクトあります。チンピラ的危なっかしさというか。思い込んだら試練の道というか。ラストの「さりげなくつっかい棒〜いきなり匕首で刺殺」の流れは凄かった。実の娘に温かく接するシーンも印象深いです。(しおざる)▽娘が可愛くてしょうがなく、人としての生き様を教えてくれた忠兵衛に義理を感じ、真っ当な生活を営めるようにしてくれた平蔵に感謝……という人間性が役者・火野正平の人柄とダブる。そして恩人への忠義を貫くも、当の本人は覚えがないという「世の無常」がひたすら胸を打った。放送後、この部分の改訂に大勢の方の反感を買った本作ですが、わたしはアレもアリだと思います。(しののめ)

 私も、これが今回の鬼平で泣いてしまった唯一作品でした。火野正平、今まで出演していないこと自体が、不思議ですよね。しおざるさん、しののめさんと同様、娘との接し方が印象的でした。

3位☆地井武男「男の隠れ家」〜玉村の弥吉 2票

 ▼捕まるときの潔さが本格の盗賊っぽくてよかった。仕置きのときに念仏を唱える場面がかわいくていい。守ってあげたくなります。(おみき)

 玉村の弥吉にはこの人がいたか!思わず「お見事」と声をかけたい演技でしたね。以前阿藤海が弥吉を演じていますが、あれも私としてはけっこう好きなんです。それとは違った味の弥吉が見られたと思いますね。

◯主演女優賞

最優秀賞☆平淑恵「大川の隠居」〜掻掘のおけい 3票

 ▼若くもなく、すごい美人というのでもないのに、怪しげで妙に色っぽく、まさに「くわえこまれてみたい」という思いにさせる女“おけい”のイメージに 良く合っていた。庄ちゃんを誘惑するシーンにも思わず見入ってしまった。(あんちゃん)▼大年増で無理に若作りしてるんだけど、不思議と色っぽい。あの厚塗りと毒々しい口紅がいいんだと思う。捕まるときのちょっと乱れた髪もよかった。(おみき)▼平女史には珍しい“汚れ役”だが、どっこい毒婦を見事に演じきってます。容姿はあくまで美しく、その毒はかなり強いおけい像は原作以上のインパクトがありました。綺麗な薔薇にはとげがある、そのものといった感じでしょうか。たらしこんだ庄太郎に父や友蔵の本性を暴き、あまつさえ盗賊に引き込もうとする姿は恐ろしいの一言。(しののめ)

 この結果に関しても、当然、といった感じでしたね。まさしく、毒婦というのがぴったりでした。友蔵とおけいを組み合わせた当たりに、演出の妙も感じます。組み合わせが「猿塚のお千代」じゃなくてよかった〜。

2位☆野村真美「闇の果て」〜おりつ 2票+1票

 ▼女は分からない、というか、分かるような気もする、というか。とにかく女はこええ。(しおざる)▼今シリーズでは女性があまり目立たなかった気がしますけど。作品自体は印象薄いんですが、このヒトの毒気は際立ってました。(まり)▽強いてあげるならアタシ好みの野村真美嬢を。ただ惜しむらくは「男を迷わす色香」「夫を裏切り、そして今度は渡辺浪人からも変節してへ」という心理の移り変わりが掘り下げられていないことでしょうか。そこんとこがじっくり描かれていた上での完成作品だったら、堂々の殿堂入りを果たせたのでは?(しののめ)

 まりさんの意見と全く同感です。今回のシリーズ、ちょっと女優陣のインパクトが少なかったように思いますが、その中でも若手のこの人、輝いていました。しののめさんの好みでもあったんですね〜。

◯助演男優賞

最優秀賞☆山西惇「一本饂飩」〜男色剣客の色子・与市 5票

 ▼その種の「男」のしぐさ、目つき、しゃべりが驚くほどうまく、感服した。あれは、ほんとうに演技なんだろうか?(あんちゃん)▼腹を抱えて笑わせていただきました。あのプイとなった目つきがうますぎます。うさ忠に向かって「おかしらも物好きだ。こんなののどこがいいんだよう!」おもしろすぎ。(おみき)▼タイトルから失われた「男色」パートを一手に引き受けた山西氏に一票! ルックスだけでなく仕草や感情まで「色子」になりきっているのは爆笑を通り越して脱帽の域ですなコリャ。こういう隠れた逸材、松竹京都はよく抜擢するけどまだまだ小劇団系でこういう役者さんって大勢いるンでしょーなー。(しののめ)▼ホモ演技。見事でした。ベタなメイクも、なよなよっぷりも、忠吾をジェラシーの目で見る演技も、最高。(しおざる)▼とにかく笑えました。着物の着方やらなんやら。忠さんに嫉妬してるとこもサイコウですねー。(まり)  

 断トツです。今回の投票で最も支持率が高かった人ですね。この人、関西系の小劇場、そとばこまちの人なんですね。そういえば私も、そとばこまちの舞台で見たことがあります。フジテレビ編「鬼平を極める」という本の中の「ファン大集合」というコーナーで、この人が鬼平についてコメントしています。「役者としてぜひ一度出てみたい」と書いていましたが、まさしくその念願かない、多くの人の記憶に残る演技をやってのけた!という感がします。特に、石橋連司の蛇の平十郎に心酔しているようで、その当人の色子を演じられるなんて、お見事じゃないですか!

2位☆尾美としのり「一本饂飩」〜木村忠吾 2票+2票

 ▼やっぱ「貞操の危機」にさらされたうさぎに敢闘賞を(笑)。(しののめ)▼ コミック系の話にはやはりこの人。笑わせてもらいました。(しおざる)▽自分が男色の餌食になる、と思った瞬間のうろたえぶりと、そのあと窮鼠猫を噛むがごとくの必死の抵抗が笑える。とくに、「裏の盗め人」になりきって、大盗の名前を列挙するところの演技が良かった。(あんちゃん)▽珍しくアタマを使ったり(笑)、ラストの意外な反撃がステキでした。よく変わる表情もさすがです。おかしらに必死で探させ、「死なせたくねえ」と言わせるに値する「うさ忠像」がカンペキに表現されていたような…。(まり)

 これも、はずせませんね。忠吾がクローズアップされる作品群(「忠吾なみだ雨」「谷中いろは茶屋」「影法師」など)の中でも、これは超レアな逸品ですからね。今まで映像化されなかった分、作り手のエネルギーが十分注がれた逸品で、尾美版忠吾の完成品となったんじゃないでしょうか。

3位☆小野武彦「男の隠れ家」〜吉野屋清兵衛 2票

 ▼配役がピタリ。女将さんに頭の上がらない婿養子の役を演らせたら、この人に右に出る人はいないと思う。「あーいい夢を見させてもらいました」と言う、いかにも楽しげな演技も好きです。(おみき)

 この人も、だいぶ個性的ですね。今回の配役にぴったりだったと思います。

4位☆蟹江敬三「大川の隠居」「闇の果て」の小房の粂八 別作品で1票ずつ

 ▼「大川の隠居」で。友蔵をかばいたい気持ちと、密偵としての使命感の板ばさみを見事に演じていたと思う。粂八は川越で友蔵を見つけるまで、盗みに加担してくれるな、と祈るような気持ちであったのがよく伝わり、心に染みた。(あんちゃん)▼「闇の果て」で。この人、『鬼平』の中では一番感情移入できるんです。藤田に対する大人の態度、そして結局救えなかったことを気に病む演技、どれをとってもしっくり来ます。(しおざる)

 蟹江の粂八に文句をつける人はいないでしょう。今回も、じっくりと見せてくれました。私としては伊三次とのツーショットが何度か見られたのが嬉しかったです。前までのシリーズで粂八と伊三次が同じ回に出るのは、「猫じゃらしの女」、「密偵たちの宴」など、ごくわずかじゃないんでしょうか?

5位☆石橋蓮司「一本饂飩」〜寺内武兵衛 1票

 ▼あの怖そうな顔から突然オカマっぽくなる落差がすごい。さすがというか、すばらしい演技力と持ち味ですね。(おみき)

 お馴染みの蓮司さん、今回は山西氏にくわれた感じがありますが、さすが、という印象は残りましたね。同時期に、NHKでの「陽陰師」にも出演していたのですが、キャラがかぶりました。

5位☆名前:綿引勝彦「一寸の虫」〜大滝の五郎蔵 1票

 ▼懐が深く潔い男っぷりと、やさしく暖かい心遣い、長谷川平蔵に向ける信頼と尊敬といった、五郎蔵のキャラクターをすべて演じきっている。キャスティングも悪くない。(あんちゃん)

 なるほど〜、確かにこの回は五郎蔵が、ストーリーをきちっと引き締めていましたね。

5位☆中村歌昇「大川の隠居」他〜小林金弥 1票

 ▼高橋悦史の佐嶋亡き後というプレッシャーもあったでしょうに、目立たないが歌舞伎役者の演技力は底力を感じましたでございます。(与力たきざわ)

 さすが、渋いところをついてきますね、たきざわさん。なるほど。私としては気がつかない視点で、感服しました。

5位☆真田健一郎「大川の隠居」他〜沢田小平次 1票

 ▼さすがとしかいいようがない貫禄と殺陣。この人がいなくなるのは高橋悦史や尾美としのりと同じくらい痛い。登場頻度でも勝野洋よりずっと少ないのに存在感は上ですな。(与力たきざわ)

 これも、お見事な指摘です!登場頻度が勝野洋より少なかったんですね。なるほど、それだけの存在感、すばらしい。

5位☆石井揮之「大川の隠居」〜庄太郎 1票

 ▼親孝行で思いやりがあって、健気そうなとこがよかったです。他のドラマとかでやな役やってたらショックだろうな…。小林同心に「庄太郎だな」と確認されたときの「はい」という返事の仕方にときめきます(照)。(まり)

 なるほど、これも、かなり細かいいい指摘をありがとうございます。何となく、ときめく気持ちも分かるような気がします。

◯助演女優賞

最優秀賞☆梶芽依子「一寸の虫」〜おまさ 4票

 ▼梶のおまさはどの回でも欠かせない存在だが、とくに「一寸の虫」では、火野正平をやさしく看病し話し相手になってやっているシーンが印象的だった。(あんちゃん)▼実は「主演女優賞」でもいいと思った。でも逆に彼女を「主演」とするのは却って彼女に失礼かと思いまして。なくてはならない存在という点では正直久栄の上を行ってますよね。今回特に「一寸の虫」で仁三郎の家にいるシーン。「おまささんってきれいなんだね」いや、画面で見ててあたしも本気でそう思った。惚れそう(笑)(与力たきざわ)▼原作にはないものの、負傷した仁三郎の面倒を見るおまさ。密偵同志「これだけは打ち明けられぬ」ことは聞きはしないという姿勢、仁三郎の行動に胸騒ぎを覚えて大滝の五郎蔵に相談をもちかける「母性」と殉職した仁三郎の心情に共鳴しての号泣(←これちょっと行き過ぎっぽいけど)など、男社会を描く「鬼平犯科帳」に女性の視点を加えた功績に免じて一票入れさせていただきます。(しののめ)▼仁三郎を思いやって世話をするところがキレイです。ラストの涙ながらの報告が泣けました。(まり)

 これも圧倒的な支持率ですね。登場回数の多い密偵への意見が、同じ放送回で集中するというのは、よほどのことですよね。私も、助演女優にはこれしかないと思っていました。何もいうことはありません!みなさんのコメントがすべて、その通りだと思います。

2位☆多岐川裕美「大川の隠居」〜久栄 1票

 ▼医師の井上立泉先生に言われ、煙草盆をそそくさと片付けるシーンが、いかにも久栄らしくてよかった。平蔵に、「一服だけ・・・」とせがまれ、ふくれ顔になるところも、好きです。(おみき)

 なるほどね。今回久栄が目立ったシーンは、これくらいでしたよね。もっと見たかった、というのが正直なところです。

2位☆わからないです。「一寸の虫」〜おみの 1票

 ▼この「おみの」!カワイイ。おみのの「おじちゃん有り難う」は泣いちゃったよ。おみのの演技あってこそのストーリー。(与力たきざわ)

 確かに、クレジットでは名前が判断できませんね。その素直なまま、大きくなってほしいですね、ぜひとも。

2位☆紅萬子「男の隠れ家」 1票

 ▼髪を切られたときの動転ぷりが良かった。あまり出番は多くなかったけど、もっと見てみたい気がしました。(しおざる)

 またまた、渋いところをついてきますね。確かに、もっと「その後」が見たいと思いました。

2位☆井上ユカリ「闇の果て」 1票

 ▼善良な娘って感じがとてもよく伝わってきました。この娘とあの義母なら、父がいなくてもやっていけるでしょう。(しおざる)

これまた渋いですね!私はもう一度、確認する意味で見返してみます。

◯作品賞

最優秀賞☆「大川の隠居」 3票

 ▼主だった密偵がそろい、平蔵の見事な采配と勘ばたらきにより捜査の糸が徐々に解きほぐれていく展開がよくできていたと思う。また、大川、小舟、船頭、舟宿、といった「鬼平」の重要な要素がふんだんにちりばめられており、「鬼平」にふさわしいストーリと舞台であった。(あんちゃん)▼これ、あまりにも大きな致命的な「減点ポイント」があるし、困りものなんですけど、長編として、一部ダイジェストちっくな展開も含めて、出来自体はよかったんじゃないでしょうかね。「テレビの鬼平復活」という、極めて大きな期待を持って見られたという状況下、期待を裏切らずに「来週が早く来い」と思わせる出来は十分以上に嬉しかった。細々見ていてもいいシーンが満載ではございませんか。「これだよ、これを待っていたんだよ」と言わせるに十分な作品でした。(与力たきざわ)▼やっぱ再開第1話ですかね。あまり期待していなかった原作「掻堀のおけい」が機能しているのに、おけいと友蔵をつなぐ役目の生駒の仙右衛門の影が薄かったのは少々残念ではありますが。しののめ的には主演男優&女優賞ノミネート作品ですから思い入れはかなり強いです。あとはラス殺陣もイケてましたし。賞レースにはモレた沢田小平次の殺陣は相変わらずの剛剣ぶりで胸がすく思いでした。(しののめ)

 やっぱり、いろんな要素がからみ合った、これですね。私としては、しののめさんのように、小平次の殺陣もよかったんですが、このときは「ネコ殿」が捕り物に加わって、勇ましい姿を見せていることが楽しかったです!これって、「雲竜剣」以来の勇姿じゃないですか?ネコ殿のシーン、今回はこのくらいでしたね。

最優秀賞☆「男の隠れ家」 3票

 ▼地井さんの弥吉が、とにかくよかった。おまさ、彦十のまえで平蔵が、「ちかごろは酔狂な野郎が少なくなって・・・」などと語る場面、最後の弥吉の、狗になりたいという訴え、それを聞いて言う平蔵の、「はやくおれの舟にのらねえか」というセリフ。いい場面の多い作品でした。(おみき)▼ストーリー展開がわかりやすく、人間の神経を逆撫でする類の悲惨な場面もなく大団円で終わるこの話が、8時の娯楽時代劇の果たす役割としてみた場合一番相応しいと思いました。難しいことを抜きに単純に、最も楽しめました。(平野屋)▼これだけ録画失敗して詳細はわからないのですが、神棚のろうそくに関するエピソードやら、ストーリーの展開などが面白かったので印象に残ってます。(まり)

 なんでこんなに面白い話が、今まで暖められてきたんでしょうかね。その分、完成度が高く大変満足しているんですが……。とにかく、私としては、平野屋さんと同じ、「難しいことを抜きに単純に最も楽しめた」というのが、よかったと思ってます。

3位☆「一寸の虫」 1票

 ▼これはもう、火野正平氏の好演に尽きます。(しおざる)

 実は私も、1票投じるならこの作品でした。火野正平の「盗賊・密偵・父親」という3つの顔の演じ分け、おまさの母性、五郎蔵の友情、それを超越した平蔵の度量の大きさと、すべてが出そろった作品だったと思います。ここまで名前は出てきませんが、高橋昌也の「船影の忠兵衛」、高橋長英の「鹿谷の伴助」もしっかりとワキを固めていたと思います。

投票結果はまだまた続きます!→次のページへ